生命
夜は素敵。
索敵じゃあありませんよ。
どうもこんばんは。motomanです。
夜が素敵な事を知っている人は…そう多くはない気がします。
大きさを揃えるのが非常にムズかしいです…
似た形の中でも、どんなラインが良いだろうか。と
いくつか作りました。
うん。
どう見ても左ですね。
なるほど。
これは使えそうです。
キリッと。
丑三つ時からの水挽きは気合が入ります。
ふと水場を見てみると、バケツの中から出られなくなっているトカゲを見つけました。
きっと女性ですね。
かなりの美人です。
鶴の恩返しよろしく…丑三つ時に美しい人間がお礼に来る事を期待し
草むらへと逃がしました。
今までにこういった事は多々あるので、恩返しなんて無い事は知っていますよ。
しかし美人です。
もし私がトカゲ…いや、せめて爬虫類だったなら
奇麗な尻尾ですネ。と声を掛けていたと思います。
彼女を助けた事が、どうだったのか
そう。
あそこで干からびて死ぬ事が彼女の運命だったなら。
悪い事をしたかもしれないな。
自然の摂理に反する行為だったのかもしれない。
いや、それならば
私が助けた事もまた、運命だったのかもしれないな…
なんて
ろくろに座って一服していると、灰皿に使っている飯碗の口縁に
見た事のない虫を発見しました。
アリクイみたいに鼻の長い虫です。
動きがとてもとてもゆっくりでした。
さあ
内側へ落ちてしまったら…美トカゲのように、死を待つだけになってしまう。
外側へ落ち、作業部屋から外へ出られれば…あるいは
エサのある環境へ戻り…住むべき世界へと帰れるかもしれない。
見届けよう。君の運命。
結局この鼻長虫は、口縁をゆっくり。ゆっくりと周り
元の位置に戻っては…ゆっくりと口縁を周っていました。
数珠を手に掛け、珠をひとつずつ手の内へと運び数える坊主を連想しました。
始まりも終わりも無い世界。
鼻長虫のおかげで、何か大事なものの片鱗に触れた気がしました。
水挽きをしながら、ダリの事を思い出しました。
数年前に回顧展へ行った時に聞いた話だったと思いますが
( ググってみましたが…特にそういった記事が見当たらなかったので、勘違いかもしれませんが )
ダリは蟻をモチーフにする事が多かったようで、それは彼が
死や腐敗といった意味合いを、蟻というものに見出していたから。だったそうです。
作業場の壁にはいつも大きな蜘蛛が這っているし
名前があるのかもわからないような…小さな飛行生物が飛び交っています。
外壁にはヤモリがくっつき、草むらにはバッタが潜んでいます。
トイレまでの暗闇をほんの数歩、移動するだけで
カサカサ。と、私を警戒して何かが逃げる音があちこちから聞こえます。
静かな夜ですが
生命が確かに在る事がわかります。
朝方になれば
ろくろの真上にあるスズメバチは巣作りを再開するし
鈴虫の数が多過ぎて…大合唱も大合唱。フルオーケストラが始まります。
かと思えば
作業場の部屋の隅のあちこちで、埃や土クズにまみれて動かなくなった
色々な虫達の屍骸があります。
ヒトが寝ているべき時間に作業をしている私は
生か死か
そのどちら側に居るのか…よくわからなくなります。
彼らが死んでも私は生きているし…私が死んでも彼らは生きているでしょう。
なるほど。
これが宇宙の真理というやつか。と思いながら作業していると
空が白けてきたので、ペースアップし
逃げるように帰宅しました。
陽が傾いた頃に作業場へ行き、陽が昇る前に逃げ帰る私は
一体なんぞ ?
とりあえず
夜中は作業が捗るし、帰宅途中の
早朝の澄んだ空気と共に吸う煙草は格別に美味いし
まあ
夜は素敵だ。とわかっただけでも良いかな。と思いました。
逆さを向いてとまっている彼の事が理解できなかったし
まだまだわからない事があるモンだ。あなどれん。
死を象徴する蟻を食うアリクイを飼っていたダリは
何を考えていたんでしょうね
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by t_durden | 2011-08-04 07:03 | 陶芸 : CeramicArt