マエタテ

盆が過ぎ、空気感が変わった気がします。
子供の頃…夏の終わりの夕焼けを見て感じた、どこか切ない空気です。

未だなお猛暑が猛威を振るっていますが、じきに涼しくなるのでしょう。
秋の気配を感じた今日この頃でした。

どうもこんばんは。motomanです。

またまた久々の更新です。
かなりバタバタしていたもので。恐縮です。

色々とありましたが、取り敢えず今日はこんな記事でも。

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先日、普限窯へ行ってきました。
前回の窯焚きが終わった時、小山さんが
マエタテを修復せないかんな。と仰っていて、どんな風にやるのか興味があったので
お手伝いがてら行ってみた次第です。

焚き口の真上から糸の先に錘をくくりつけてぶら下げてみると
マエタテの上と下とでかなりの差があります。
( 一応断っておきますが " マエタテ " という単語は今回初めて聞いただけで
サラッとネットで調べてみましたが、正確な表記はわかりませんでした。
" 前盾 " と書くのかもしれませんし、兜の飾りの意味で用いられるのと同じ " 前立 " と書くのかもしれません。
産地によっては別の呼称があるかもしれませんが、まあ…
窯の前面の事です。
今度 忘れずに聞いておきましょう )

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右側から見た画。
上にいくにつれ、隙間が大きいのが見受けられると思います。

信楽の窯はマエタテと窯本体をくっつけて築窯するのが一般的だそうですが
普限窯は切り離している状態で組まれています。

前回の焼成で 10回 。
焚き口に、薪がくべ易いように大きなレンガを嵌め込みますが
それがとても頑丈でブ厚く、非常に重い為
マエタテの上部が…徐々に手前に倒れてきたのではないか。というアレで
次の窯焚きに備え、修復する運びとなったわけです。

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こちらが逆サイド、焚き口を正面にして左側です。
右側よりも幾分隙間が小さいのは
窯の左手には地下に水脈があり、若干湿気が強い分
右側と差が出たのではないかとの事でした。

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セラミックファイバーを削ぎ落とすと、パックリ隙間が広がっているのがわかります。

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岸和田に在る普限窯。
マエタテはだんじりをイメージした形になっています。
意匠的に組まれた耐火レンガを外し、いよいよ解体開始です。

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普限窯の大きな特徴として、天井部にレンガを用いていない事が挙げられます。
窯の寿命は即ち、天井が落ちる事で
アルカリに強い材で天井を組めば、長持ちする窯が作れるのではないか。という小山さんの予見があり
ジミーさんの協力で、工業炉に使われる材を陶芸の窯に取り入れました。

キャスタで天井を組んだ窯は、おそらく
喜楽窯と普限窯だけではないか。という話です。

事実、内部を覗いてみると
天井の裏側には少しのビードロもついておらず、奇麗な状態を保っています。


また、その形状も非常に特殊なのですが
マニアック過ぎるので割愛します ^^

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レンガを外し、ひとつひとつ手入れして奇麗な状態へ戻します。
ロストルも随分と痩せたので、取り替える事にしました。

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意外にすんなりと…外れました。

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SK36 を使ったそうですが、それでもこの焼き減りっぷりはアレですね。
炎ってすごいッスね。

SK36 と言えば… 約1800℃ 近くまで耐えられるはずなのですが
さすがにこの減りっぷりは SK34 だったんじゃない ? と小山さんに問われたジミーさんは
わかりません。と一言。

男らしくて良いと思います。

SK34 でも 約1400℃ あたりまで耐えられるわけですから
いや、どちらにせよ
火前ってすごいッス。
炎ってすごいッス。
アルカリってすごいッス。

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手前の 2つ を新しいものに取り替えました。
気持ちが良いですな。

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3本目 のレンガの表面をグラインダで 2mm ほど削り落としました。
熾の操作をする時、ちょうどこのレンガにステンレスのスコップが当たるのですが
微妙な段差を拾ってしまい、滑らかな動作が取りにくかった為
これを機に改善しました。

これでシャコッと熾をすくっては飛ばす事が出来そうです。

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細かいところですが、ロストルのレンガを嵌める箇所を少しだけ…けがいていて
メンテナンスし易いように設計していたようです。
その効果は大きかったようで、すんなりと交換できました。

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マエタテを全て崩し終え、ツラをキレイにグラインダで削り均しました。

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ここから、ジミーさんが試作で開発したキャスタの出番です。

これは窯の内部ですが、補修にはこのキャスタをパテのように使い
ところどころ小さな修復を繰り返しています。

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隙間という隙間にキャスタを埋めていきます。

マエタテと窯本体の間に 50mm ほどの隙間を設け
そこにもキャスタを流し込みました。

マエタテの下部を前に 50mm 張り出す事で、窯本体にマエタテを立てかけるような格好にし
ある程度、傾斜させておく事で改善を図るのが狙いです。

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アゴから汗を垂らしながら…五郎さんとキャスタを練り倒します。
煙道の蓋をキャスタで作る事となり、朝倉さんが作った木枠に流し込みました。

五郎さんのサインが光ります。

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マエタテだけでも意外なレンガの量ですね。
普限窯は 約3000丁 のレンガを使用しています。
知る人ぞ知りますが ( 当たり前だ )
普限窯は竹林の中に在り、窯のすぐ傍まで車で入る事が出来ません。
荷や薪など、全てのものを持ち込む際には
収穫した果物を運ぶモノラックを使うのですが
3000丁 のレンガ、数トンのキャスタをモノラックに乗せては下ろし、窯まで運び…を繰り返し繰り返し
この普限窯は完成しました。

情熱大陸に出ても良いと思います。


と、取り敢えずはここまで。
あとは小山さんがひとつひとつレンガを積んでいきます。
来週の月曜日にキャスタを流し込み、修復完了となります。


お前も窯作りたかったら中古レンガを安くチマチマと集めとけよ。と言われましたが
先立つものがからっきしありません。
金銭的な意味で。

それでも
ひとつひとつ集めていけば何年かかろうと数が揃う。
集めようとしなければひとつも揃わない。
集めたレンガを毎日 10個 でも…奇麗に手入れして使えるようにしていけば
いずれ材が揃う。
夢はコツコツ叶えるもんやで。と言われ
そうですね。と応えましたが
以前 愛飲していた PEPSI NEX を安価な水に替え
カッパみたいにゴクゴク飲みながら
いやあ。
味気あるもの飲みたいわ。と
ついつい甘い飲み物をついつい飲んでしまう私には
いつになっても材はおろか
PEPSI NEX を飲めるようになる…ちょっとした財すら成らないんじゃあないかと
思えてなりません。



気負わない程度にボチボチやっていこうと思います

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by t_durden | 2013-08-20 03:47 | 薪窯 : Wood-fired kiln