引出し

昨晩の雨はものすごかったですねえ。
水がしたたっちゃいました。

どうもこんにちは。motomanです。

引き出しの様子です。

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私の引出し順番は、夜の部の最後だったので
小山さんに手順を聞いて再確認し、他の方の引出しを見ながら
シミュレートします。

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窯詰め後の写真と炉内を見比べ、自分の品がどの辺にあるのか
目視で確認しようとするも…温度が高く、白味が強くて見辛くもあり
また、熾に押されて移動してしまっていたり
全体が埋まってしまって見えない事があります。

今回の私の品
その中の後者で、完全に埋もれてしまい
目視する事は出来ませんでした。

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投げ込み → 木蓋 の 1クール で焚いています。
炉内を見る際などは、木蓋としてくべていた薪も全て落とし込み
それらが黒煙を吐ききるのを待ちます。


先ず、自分の品が何処にあるかを確認する為
ステンレスの棒を突っ込み、熾を左右に散らします。

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以前、一度だけ
喜楽窯にて引出しをした事があるのですが、どうも小山さんの中で
私が初めて引出しをする。と勘違いされていたみたいでしたが
改めてイチから教えて頂けるから良いか。と思い
横に付いていて頂きました。

しかしまあ
白く光る炉内で、いくら熾を散らしても…なかなか自分の品が見えません。
写真で何度も確認し、炉内の何処に段差が設けてあり
周りの品も記憶はしていたのですが…あるであろう場所に見つかりませんでした。
あまり激しく散らすと、周りの品に棒が当たる危険もありますし…
難しいモンです。

結局 小山さんにバトンタッチ。
頭のてっぺんが少しだけ姿を現しました。

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それを目視し、再び
投げ込み → 木蓋 で 1クール の間、温度を上昇させます。

緊張しながら待つわけです。


今回の普限窯の焼成テーマは
" 引出しで釉を意図的に動かす事 " で
私の頭の中では
" 引出しでしか実現できない釉の動きで絵を描く "
と換言していました。

目標としては
下から上方向に釉が流れる様を描きたかったわけで、
はて…結果は ??

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品を目視し、ステンレスの棒を口元に引っ掛けて
手前に溜まっている熾の上へ倒します。
その上で棒を上手く使い、品を 90度 ほど回転させます。
私の品は口造りが非常に薄い為、慎重さが要求されました。

窯詰めエントリィの際、小山さんとマホニーさんに
ああ。これは割れるね。と
あまりよろしくない…太鼓判を頂いていた品です ^^

口元にストレスをかけられないので、うむ。
上手く回せねええええ
と思いつつマゴマゴしていると
見かねた小山さんが手を貸して下さいました ^^;


この状態でさらに 1クール 待ちます。
焚き口を開けている時間が長い為、昇温させる必要があります。
温度が高い方が釉が流れ易いわけですし、いざ引出す際に
釉が流れる時間を稼ぐ事が出来るようになる意味合いもあります。

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ここからが動画の内容と同じものです。
いざ、本番。

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倒してあった品の口からステンレスの棒を突っ込み、
焚き口のレンガの中心に作ってある…小さな欠けに嵌め込み
テコの原理を利用し、焚き口からなるべく離れ…品を持ち上げます。

火傷防止に牛革の手袋をしていますが、炉内は 1300℃ 近いので
ブスブスと煙が吹いてきます。
熱い !
と思った頃には火傷している。という…
北斗神拳伝承者と対峙するようなものなので
なるべく離れておく必要があります。

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体感では 40秒 ほどかな ?? と思っていましたが
にえっつさんの撮ってくれた動画で改めて客観的に観てみると、 80秒 近く持ち上げた状態を維持していたようです。

この際
炉内で煙がどう動いているかを見極め、品がハッキリと見える場所を
左右どちらかに振って探します。
また
釉の動きが見易いよう、炎の近くまで降ろす事も重要だと教えられました。

煙を避ける為の左右の動きと
品を見易くする為の上下の動きがある。という事でしょうかね。


釉が動く様子を見て、どこまでどのように引っ張りたいのかを判断します。
このような試みは初だったので、どこまでも待ちたくなるし
完成した姿がハッキリとは想像出来ない事もあり、難しかったですけれど
次の工程に移る事にしました。

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ステンレスが蓄熱し、品の重さもあり
次第に曲がってきます。
動画の 1分20秒 あたりで一度、棒を下げているのは
棒が曲がり過ぎてそのまま出すのが微妙だった為
熾の上に置き、棒を挿し直しているからです。


いよいよ引出しです。
品の中に大量の熾が入っているのがわかります。

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私が引出しをしたのは、窯焚き開始から 108時間後。
その間に蓄えられたカロリィで、品が焼けています。

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紅味の濃淡で、釉の厚みがわかります。
底ですら、半分近くあたりまで釉が流れているのがわかります。

真反対まで流れ、底を横断している品を見た事がありますが
おそらく私のこの品の場合
その形状から、肌を釉が流れ易く
それを実現できる厚みにまでならなかったのでは ?? と想像しています。

あるいは
持ち上げる角度も、その要因として挙げられそうなので
ハッキリとはわかりませんけれど。

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口元が欠けてしまいましたが、まあ
このように、口造りの薄いものを引出すなんてどうかしてるぜ。って事なので
致し方ない窯傷だと思っています。

形状 ・ 引出し方を改善すれば、クリア可能な課題だと感じましたね。
ただ
口造りは厚くしまセン。
あくまでも薄作りの品を引出す事に…こだわりマス。

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溶けた釉が表面を濡らすように光っています。
口元から急激に冷却され、黒くなり
品の色が徐々に見えてきます。

この時、本来であれば
中に溜まった熾を、空中で品を揺さぶる事で外へ放り出すのですが
口元が薄い為、イチかバチか…入れたまま冷やそう。という小山さんの判断で
そのようにしました。

熾が中に入っている状態ですと、内と外との温度差が激しくなり
冷め割れする危険が非常に高くなるのですが
なんとか
冷め割れする事はありませんでした。

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足下。
釉が真横に向かって回り込んでいるのがわかります。
動いた先の終点部に釉が溜まり、手前と奥に
2つ のぷっくらとした膨らみがあるのがわかりますね。

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どれくらいでしょう。
30 ~ 40分 ほどで、触れられるほどまでに冷えます。

小山さんと、九谷から応援に来た半田くんと
その景色を確かめます。


一般的に、伊賀焼は荒々しいものが普通で
このような形を焼く人も居なければ、まして
半磁土を焼く人も…まず居ません。

私は産地へ修行へ行ったわけでもないので
何焼きですか ?? とよく聞かれては
個人でやっておるので特に何焼きというのはございません。
田中焼きとかでいいんじゃないでしょうか。と答える人で
まあ 個人でやっているからこその
伝統に拘らない。という点である意味 自由な発想でものが作れる立場なので
そこらへんを活かせるよう、フワフワと浮いておる日々です。

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次に向けてどうすれば良いか。

子供のように好奇心の止まない小山さんと
情熱の塊を胸に抱く、厳しい小山さん。
良かった点と改善すべき点を話し合います。


この品は DAN T"EA に出品します。
要項の中に、未発表の作品に限る。とはなかったし
ブログに写真を貼る事が、発表というくくりに入るのか入らないのか…
私にはわかりませんが。

とにかく実物を見て欲しい。という想いが強いですし
まァ… DAN T"EA が終わればどうせ写真をアップするんだから。というわけで
残念ながら、この品が数日後にどういう色味に落ち着いたのかは
また今度。という事で…
ここはひとつ。


という話で。
ああー そういう事なんだー ってなノリで観てみて下さい。
ほんの 2分半 ほどの話ですが、大変良い勉強になりました

Photo and Recording by にえっつ

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by t_durden | 2012-10-18 17:14 | 薪窯 : Wood-fired kiln