オチル流 石膏型

身体の自由の利かない、倒れた私を見下ろし
その男は…片方の口角を少し上げ、両手で振りかざした
不適な笑みを含んだ斧を…一気に振り下ろした。

その刹那
凶刃が何処へ振り下ろされるのかは、考えないように努めた。
出来れば…苦しむ事無く死ねるよう、頭に振り下ろされれば良いな。という
淡い期待があった事は確かだが

ただ、例え…上っ面だけでも
毅然とした態度を貫き通し、その男の望む
絶望に満ちた顔は見せないでおこう。
苦痛に満ちた声は出さないでおこう。
一方的に勝ち誇る男に、一矢報いてやろう。
と、そう思った。


斧は、私の身体から左手首を切り離した。

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どうもこんばんは。motomanです。

1年前 に初めて知り合い、数ヶ月前から喜楽歩で一緒に働く事になったオチルさんが
諸事情あり、急遽モンゴルへ帰国する事になりました。

以前から、オチルさんの精巧な石膏型から作り上げられる作品に感動を覚えていた私は
いつか石膏型の取り方を教えて下さいね。と、お願いしていました。

帰国間近だったのですが、半日だけ時間を作って下さり
オチル流の石膏型の取り方を教えていただきました。


離型剤を原型に塗ります。
原型を石膏から外し易くする為のものなので、グリスの類なら何でも良いと思いますが
まあ…石膏用の離型剤というものが売っているので、それで。
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今回の場合
底部 ・ 躯体部 2つ の
計 3つ の型を作る事にしました。

口縁部を含めて 4つ に分けるのが理想的ですが、いかんせん時間的制約があったもので。
そんな複雑な形でもないですし、口縁部に関しては
鋳込む際に注意すれば、問題は解決出来ますし。

糸を使って径を測り、出来るだけ正確に 2等分 するラインを引きます。
このラインが石膏型の継ぎ目になります。


だいたい…ラインが水平になるように
粘土を枕にし、高さを揃えます。
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この工程が最もデリケートです。

原型を傷付けないよう、ラインに沿って継ぎ目が合わさるよう
粘土をくっつけては…表面を奇麗に慣らします。
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4枚 の板で周りを囲い、粘土と板に隙間が出来ないかを確認します。

OK ならば…板がズレないようにゴムで縛り
粘土と板がしっかりとくっつくように、身近な適当なものを噛ませて
外から押し付けるように固定します。

しっかりと押さえつけられていなければ
ゴムをさらに強く縛るか…噛ませている物を大きくシマショウ。

また、板にもしっかりと離型剤を塗ります。
石膏が触れる部分には塗れ ! って事ですね。
板に関しては、ラッカーなどを吹くのも…簡単で良いみたいです。
要は吸水性が無くなれば良いわけですから。
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そして
1発目 の石膏を流し込みます。
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待つ事 20分 ほど。

水に触れる事で化学反応を起こし、石膏が発熱します。
それが収まる頃には、かなり硬化が進んでいるはずです。
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ひっくり返します。
硬化が進み、普通に触る程度では問題ないですが
硬い物でなら、簡単に削れる状態です。

この面が合わせ部になるので
スプーンの柄を使い、グリグリと穴を開けておきます。
このチョボがある事で、毎回同じ位置で石膏を合わせる事が出来ます。
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計 4つ のチョボを付け
合わせ面と原型に離型剤を塗り直します。
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石膏を水で溶き
スプーンで、チョボにしっかりと入るよう
少し垂らしておきます。

この際、机をトントンと叩き
石膏内に含まれている微量の空気を浮かび上がらせます。

真空状態で石膏を攪拌する機械が世の中には存在しますが
クソ高いので…叩きましょう…
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その後、なるべく空気が入らないよう
慎重に残りを流し込みます。

これでもかこれでもか。と
トントン叩きましょう…

最も重要なのは原型に触れている部分で
そこに気泡が残ったままになっていると、当然
鋳込む際にその気泡にも粘土が詰まってしまい、アレな事になってしまいます。

手順として…いえ、まあ
石膏はドロッとしたペースト状なので
原型に触れる面が必ず下に来るので、トントンと叩けば
その他の部分に気泡が残っていようとも、少なくとも原型に直接触れる部分だけは
気泡が残る事は…まずありません。


精巧な型を作る方は、それをも許しませんが
そんなに複雑な形でも無いので、 OK です。
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これで、躯体部の 2つ の型が出来上がりました。

いえ

2人共 、なんだかボーッとしていて
厚みにかなりの差が出来てしまいました;;
このままにしておくと、鋳込む際に大きな問題が生じるので
やり直す羽目になってしまいました^^;

きちんと測りましょう…
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残るは底部です。

ここも合わせる面になりますので、スプーンでグリグリとチョボを付けます。

その後、離型剤を塗り直しました。
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失敗を含め… 4度目 の石膏流し。
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ようやく完成です。

バリを奇麗に処理し、扱い易いよう
石膏型 全体を面取りします。
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オチルさん監修の下、初めての 3面型 が完成しました。

学生の頃は… 2面 までしか取った事がなかったので。
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原型に使ったタンブラーです。

素焼きをした状態だったので、傷付く事もなく
奇麗な型が取れました。

学生の頃には
半乾きの時に型を取りましょう。と教わった気がするのですが…
アレは不真面目な私の聞き間違いでしょうか…
何か他の理由があったのでしょうか。
明らかにコッチの方が原型として優秀ですよね。


私の使っている黒土は 200目 と、かなりキメの細かい土ですが
オチルさん曰く、本焼きしてしまってからの方がもっと扱い易い。との事でした。

当然、吸水性のある程度確保できるし ( つまり石膏から外し易い )
素焼き状態よりも硬度が高く、より傷付きにくい
まあそういった理由からです。

髪の毛ほどの線も型に取れてしまいますから
ツルツルの型を作りたい方は、原型をも石膏を削り出して作るか
素焼きしたものを耐水ペーパーで磨きまくるかすると
なお一層 Good ですね。
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その後、石膏型を作る際に気になっていた事を
全て質問してみました。

こういう形の場合はどうするのか
取っ手ごと型に取る際の注意点は…などなど
色々と図に描いてもらいました。
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私は左手首を失ったが、心の尊厳だけは
その男に汚される事は無く、より高尚なものへと昇華された気さえした。


今朝、そういう内容の夢を見ました。

最近、何か力仕事をした。というわけではないのですが
どうも左手の後遺症が、またその首をもたげたようです。
雨が続いたせいかもしれません。


誰とて、身の周りに色々な問題を抱えていると思います。
私の場合の左手首が、まさにその大きな 1つ で
時には
大きな不自由さや苛立ち、相手の不注意さに対して
解消できない理不尽さを感じる事も…未だにあります。

制作に影響するほどに痛んだ事は、ほんの稀にしか無いのですが
どうやら今朝の夢はそれを暗示していたようで
今日の水挽きは…酷いものでした。


オチルさんに石膏型の取り方を教えてもらいたかった、もう 1つ の理由。
それは
原型を 1つ 作る事さえ出来さえすれば
いつか左手首が使えなくなったとしても、陶芸を続けられるのではないか。という
淡い期待があるからです。

鋳込みの技術は、きっと私の将来にとって
重要な位置づけになるに違いない。と、そう思い始めていた矢先の
オチルさんとの出会いでした。


まだまだほんの基本でしかなく
原型の形状によっては、遥かに高いレヴェルの型を作らなければならない時も来るでしょう。
Xディ が来てからでは…イケてません。

やはり水挽きが基本になるでしょうが、鋳込みの技術も徐々に身につけていこうと思います。
独学で…スキル ・ アップを目指しマス。


オチルさん

みてますか ?
ひさしぶりのモンゴルはどうですか ?
せっこうをつかって、かっこいいものができたら
オチルさんのところへおくります。

ちょっと じかんがかかるとおもいますが
たのしみにしておいてください

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by t_durden | 2011-05-24 21:51 | 陶芸 : CeramicArt