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土鍋のススメ

先日
陶芸に使う物を探しに、100均へ行きました。
毎度の事ながら、何を探しに来たのか自体を忘れてしまい
ちょっと時間が経てば思い出すに違いない。と
とりあえずトイレを借り、このまま紐づくりができるのではないかと
見紛うほどの奇麗な糞を捻り出しましたが…思い出せず。
ついには、ファブリーズまがいの消臭剤を買っただけでした。

次に使う人の為に…と、それをこの場で使ってしまったら
全てがここで完結してしまう気がして怖くなったので
再び店内へ戻ってガムを買い、それを噛みながら作業場へ向かいました。

どうもこんばんは。motomanです。

”目止め”は、木材を塗装する時にも使う言葉ですが
しがないながらも陶芸家ですので…陶芸の”目止め”でも紹介しましょう。
土鍋のススメ_b0161715_1153291.jpg
先日、てんすけさんの窯を借りて焼成したシチュー鍋です。


土鍋は細かな孔を内包している事で、急激な温度変化に耐えられるようになっています。
目止めは、土鍋の持つそういった特性による…表面の細かな穴を埋める作業で
色汚れや臭いがつくのを前もって防ごう。
細かな穴をデンプン質で埋めましょう。
水漏れしないようにしましょう。
と、そういう事です。
また、細かな穴を埋めるわけですから…強度が増す。とも言われています。

新品の場合
土鍋自体の臭いもあり
梱包していたダンボール等の臭いが移っている事もあり
目止めをせずに料理すると、それらの臭いが料理に移ってしまい…
もったいないお化けが出る羽目になるので、しっかりやっておきましょう。


まず、鍋底が濡れていないか確かめます。
直火で熱するので…湿り気のある状態で熱を加えると、割れてしまいます。
濡れている場合は自然乾燥させましょう。

土鍋の場合、8分目ほどまで米のとぎ汁を入れます。
小麦粉でも代用できます。
量については諸説あるようですねえ。
ひとつまみと表記してあるものもあれば、粥を炊きましょう。と書いてあるものもあります。
多大な効果を得たいのであれば、当然粥を炊いた方が良いですが
私は粥が好きではありません^^;
要は…細かな穴が埋まりさえすれば、水漏れしなくなりますから
私の土鍋の場合、とりあえずはとぎ汁のみで試してみました。

時間についても様々あるようです。
粥を炊いて1晩放置して下さい。というものもあれば
弱火で20分ほど煮て下さい。と書いているものもあります。
私の土鍋の場合、試しに水を入れてみたところ
水漏れも見受けられなかったので、20分ほど煮る事にしました。

因みに…フタはしなくて良いです。

その後、鍋が自然に冷えるまで待ちます。
徐冷する事で、細かな穴に染み込んだデンプン質がしっかりと凝固します。
煮沸したからと言って、すぐに捨ててしまわないようにしましょう。

土鍋の扱い方で留意すべき点は、
・鍋底を濡らさない
・急激な昇温・降温をしない
の2点に尽きます。
どちらも、土鍋が割れる原因となるので気をつけましょう…
面倒だなァ。と思うか
それさえ守れば良いのね。OK。と思うのかは
あなた次第です…ッ
土鍋のススメ_b0161715_11533796.jpg
と、水漏れもなかったので
そそくさと調理開始です。

油をひいて鶏肉を炒め、人参・タマネギを投入し
油が馴染んだら水を入れます。

3~4人分に丁度良い大きさに。と作ってみたところ
水 900mℓ と具材から出る水分で、ちょうど良い量となりました。
ふむ…粘土 2kg でちょうど良いな…とメモメモ。

そしてじゃがいもを投入し、ひと煮立ちさせました。
土鍋のススメ_b0161715_11534247.jpg
ほんとは赤ワインを使って、じっくり煮込んだビーフ・シチューを作りたかったのですが
マニー的な要素でビーフが鶏になり
具材もタマネギ・人参・じゃがいものみで…
腹がクソ減っていたという時間的なアレもあり
結局ルゥを使う事にしました。
涙なしには語れません。
土鍋のススメ_b0161715_11534764.jpg
コトコトと30分ほど煮込み…フタをして食卓へ運びます。

私は、白飯無しにはシチューを食べられない人なので
白飯を盛った鉢を用意しました。
土鍋のススメ_b0161715_11535327.jpg
完成です。
最近ワインが好きで…牛肉を鶏に代えた分がスパークリング・ワインに化けました。
意味がねえ…

そして完食です。
ちょうど4人前でした。
じゃがいももホクホクで…美味かったです。


で…
調理してみた結果…
形がイマイチでした。

コンロの火を MAX にした時の幅に合わせ、鍋底の大きさを決めたのですが
掻き混ぜる際、もそっと安定感があると良いな。と思いました。
加えて
胴のふくらみが、掻き混ぜ易さを損なわせていましたねえ。
かわゆいシチュー鍋を作ろう。と、ふっくらとした形にしたわけですが
ちょっと考えモンです。

あとはキィですねえ。
フタを受ける部分の事です。
しっかり目に作ったつもりが、そのせいで口径が小さくなり
これまた掻き混ぜにくさの一因になってしまいました。

いや、それ以前に
本当に落としブタが最適なのか…?という疑問が頭をかすめました。
被せブタにすれば、そもそもキィは要らないわけだから…口径が大きくとれます。
土鍋然り、急須なども落としブタである理由は…フタの裏につく水滴にあるはずで
これを改善できれば…キィの無い鍋が作れるに違いない。と思いました。


他の素材で作った鍋はどうだろうなァ。と考えると
銅やアルミで作られた鍋、いわゆる寸胴は
ただ、置くだけのフタでキィの無いものもあります。
陶製となると…施釉の工程でも問題になるし
その重み、衝撃に対する脆弱さから…ただ置くだけでキィの無い鍋は厳しいと思われます。

何百年も前からこの形なんだから、そういうモンなんじゃあないの。と言ってしまえばそうです。
色々な人が同じ事に疑問を持ち、色々なアイディアを試してきた事でしょう。
でも、新しい物というのは…そういうのを超えたところに在るんですよね。

私にそれが生み出せるかどうかは…また別の話ですが^^


ものづくり…面白いなァ

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by t_durden | 2011-02-14 13:53 | 陶芸 : CeramicArt